こんばんみ。
先日中判フィルムカメラ「Mamiya RB67 Pro S」を購入しました。
前々から今持っているレンジファインダーのフィルムカメラとは別に、気合い入れてポートレートや作品を意識した写真を撮る用のカメラが欲しいなと考えていました。
そこで最近購入したのがキヤノンのEOS 55というカメラ。
絞り優先はもちろんのこと多彩な撮影モードが使えて、しかも軽量。EFマウントなので今持っているSIGMAレンズを使えば変な収差は出さずにネガフィルムの色合いや柔らかさを活かせるのでは?と思い、安いのもあってヤフオクでサクッと落札しました。
で、わざわざ電池を購入して届いたものを早速試してみたのですが、比較的早いシャッタースピードにすると何やらエラーが出ます。色々動きを見るとシャッター幕に溶けたダンパーゴムが付着していて、シャッターが開いたり開かなかったりしていたことが判明しました。
それに関しては無事に返品できてお金は返ってきたので良かったのですが、電子制御の初心者向け〜中級機って微妙に手を抜いた部分があってそこから壊れるんですよね…。
だったら機械式の一眼レフにするか…この際中判もアリなのでは?なんて思い始めて色々探して目をつけたのがMamiyaのRB67シリーズでした。
このRB67は写真館やスタジオ撮影などに多用されていたカメラで、中古の流通量が多く、中判カメラにしては価格が安いのが嬉しいポイント。
スタジオ撮影向けだけあって結構図体がデカくて重量もあるのですが、完全機械式なのでメンテナンス次第で長く使えて、電池もいりません。
レンズやアクセサリーのラインナップも結構豊富なので、重ささえ我慢すれば多彩な撮影に使えるカメラであります。
今回自分が購入したのはRB67 Pro Sという第2世代にあたるモデル。一応第3世代のRB67 Pro SDというものもあるのですが、撮影に関わるスペックは大して変わらないんじゃないかと思います。たぶん。
レンズはセコールNB127mmF3.8と、フィルムバックが1個付いてお値段税別2万円でした。
貼り革がちょっと浮いていて美品…というわけではありませんが、一式揃ってこの価格なら結構お買い得なんじゃないでしょうか。
後ろから見るとこんな感じ。
上から見るとこんな感じ。
上部に巻き上げレバーが付いていますが、実はこのカメラ、シャッターチャージとフィルムの巻き上げが連動していません。なので1枚撮るたびにシャッターチャージレバーと巻き上げレバーをそれぞれ操作する必要があるわけです。
慣れれば大した手間でもないのですが、最初はちょっと戸惑うかもしれません。
付属のレンズ、セコールNB127mmF3.8は35mm判換算で言うところのだいたい63mmぐらいの画角。
RB67用のレンズは4世代ありますが、セコールNBは第2世代のものでやや古です。
馴染みのない人が多いかもしれませんが、大判や中判の一部のレンズはボディではなくレンズ側にシャッターを内蔵しており、このカメラも同様です。
なので鏡筒には絞りリングと一緒にシャッタースピードのリングも用意されています。
シャッタースピードは最高1/400。晴れた屋外だとちと足りないことも…あるかもしれませんね。
レンズを外すとこんな感じ。
ちなみにレンズはシャッターチャージした状態でないと外すことができません。撮影できる状態にしないとレンズを外せない…というのはなんだか筋が通っていない気もするのですが、機械式ならではの「お作法」と言うやつですね。
レンズにはピント合わせのためのヘリコイドは内蔵されておらず、ボディ側で操作する仕組み。
上は無限遠の状態。
シャッターチャージレバーの前にある大きなダイアルを回すとにゅ〜っと蛇腹が伸びて、最短では上のようになります。
サイドの部分に距離指標が付いており、ファインダーを使わず正確にピント合わせすることもできますね。
ファインダーは中判一眼レフでよく使われるウエストレベルファインダーが付いています。
フタに指をかけて引き上げるとカシャッと展開します。
何度やっても気持ちが良いですね、うるさいけど。
ファインダーは非常に鮮明で綺麗。
35mm判のアイレベルファインダーと比べるかなり大きく、それが理由かわかりませんが不思議とピントが合っている部分が浮き立って立体的に見えます。
フタの端にあるボタンを押すとルーペが立ち上がります。しっかりピント合わせしたい時に便利。
ちなみにウエストレベルファインダーは取り外しが可能で、別売りのアイレベルファインダーに交換が可能です。
アイレベルファインダーは露出計を内蔵しているのでそのうち購入したいところです。
もちろんファインダースクリーンも交換が可能。方眼スクリーンなどもあるようですね。
これもいずれは買い揃えたいところ。
カメラ内部に赤い棒がありますが、これは後述するレボルビング機構のためのものです。
他の中判一眼レフと同じように、RB67もフィルムバックを採用しています。上はフィルムバックを取り外した状態。
カメラに詳しい方にはお馴染みだと思いますが、このタイプのカメラはボディ本体ではなくフィルムバック内にフィルムを装填します。装填済みのフィルムバックを複数用意しておけば次々と撮影することができますし、撮影途中で違う感度のフィルムに変えることもできて便利なんです。
フィルムバックを分解した状態。
真ん中に写っているフィルムバックの外装部分にシルバーの板がついていますが、これは遮光板です。
フィルムバックを外した時に中のフィルムが感光するのを防ぐための物で、これを挿した状態じゃないとバックが外れない仕掛けになっています。(実は撮影後フィルムがすべて巻き上がった状態だと、遮光板が無くても外せるみたい)
RB67のフィルムバックには目玉となる機能が。
ウエストレベルファインダーのカメラって縦位置で撮りたい時どうするんだろうと思ったことはありませんか?6×6のカメラならまぁ横も縦もないので関係ないのですが、RB67は名前の通り6×7の比率で横と縦の関係があります。
実はRB67にはレボルビングバックという機構が搭載されており、フィルムバックの土台が90°回転するようになっています。
上が横位置の状態。
フィルムバックをつかんでぐるっと90°回転させると上のように縦位置になります。
バックを一度外さないといけないとか、ややこしい操作が必要とかそういうことは一切なく、本当にぐるっと回すだけなので非常にスムーズです。
またこの機能で便利なのが、縦位置・横位置を変えても光軸が全く変わらないという点。
普通のカメラの場合、三脚に立てた状態で向きを変えようとすると光軸が変わってしまいます。風景など広いところならそれほど大きな問題じゃないんですが、室内だと結構顕著に変わるので三脚を動かし直すことになったり…。このカメラならそういった手間が発生しないんですね。
いつも持ち歩いているX100Fと並べるとずいぶん大きさが違います。
α7RIIIと比べると…意外とそんなでもないかも。
ただRB67は重量が約2.6kgもあり、グリップも無いのでさすがに重いですね。
新宿の某中古カメラ店でRB67を購入した後、早速フィルムも購入。ヨドバシカメラで税込4050円でした。
6×7のフォーマットの場合1本で10枚撮れるから、5本入りのこのパッケージの場合計50枚撮影できます。
50枚で4050円…うーむ、やっぱり高い…。それに現像代も加わると考えると…。
さて、買った流れでそのまま試し撮りしたフィルムが返ってきたのでいくつか貼っていきます。
すべてCanoscan 9000F MarkIIでスキャンし、ちょっと露出と色を弄っています。
本当はスキャン直後の巨大なデータをお見せできると良かったのですが、9000F MarkIIのフィルムホルダーはあんまりキッチリした作りじゃないので、フィルムが浮いてしまって等倍で見せられるほどシャープにスキャンできなかったもので…。いずれはもっと良いスキャナーも買う必要がありますね。
とは言え、縮小してもなお35mm判よりも画質に余裕があることが感じられるように思います。35mm判だと粒子が目立ったりしますが、6×7だとフォーマットが大きいので粒子がほとんど目立たずスッキリして見えます。
ちょいちょい失敗したなと思ったのが、被写界深度の見積もりがうまくいかなくて微妙にボケて欲しくないところがボケている写真が…。
35mm判の感覚だとF8〜F11にしとけば合うかなというところが、中判のほうが被写界深度が浅いので同じぐらいのF値にすると結構ボケてしまいますね。ここはもう少し勉強が必要そうです。
この時はフィルム2本、計20枚ほど撮影しましたが内蔵露出計無しでも意外とイケるものですね。
スマホの露出計アプリで時々確認しつつ…といった感じ。本当はフォクトレンダーの露出計が欲しいのですが、今回買ったカメラより高いという…。まぁそれもそのうち買いましょう。
ただこの重さと持ちづらさは屋外の撮影ではなかなか大変なので、早めにストラップとグリップは買ったほうがいいかも。
あと127mmの画角は思いの外狭いので、90mmのレンズ(35mm判換算だと45mmぐらい?)も欲しいです。
重いのとフィルム代+現像代が結構かかるため、ここぞという撮影でしか使えなそうですが、タンスの肥やしにせずちょこちょこ使っていきたいですね。