こんばんみ。
先日、Panasonicが同社にとって初のフルサイズミラーレス機「LUMIX S1」と「LUMIX S1R」を発表しました。
メーカーのプロダクトページはこちら。
これまでPanasonicはレンズ交換式カメラに関してはマイクロフォーサーズ機に注力しており、APS-Cやフルサイズのカメラは出していませんでした。
(出してないよね?)
今回のS1とS1Rは同社にとって初めてのフルサイズ機となります。
メーカーの位置付けとしてはS1がスチルもムービーもいけるオールラウンダー、S1Rはスチルでの画質や画作りにこだわったモデルということらしいです。
外見に関しては銘が違うぐらいでほとんど同じ模様。
フルサイズミラーレスはすでにSONY・Leica・Nikon・Canonなどから発売されており、Panasonicは完全に後発という形になります。
そんな状況でリリースするこのカメラ、一体どれほどのモノなのか…?
私も気になるのでスペックなどをまとめてみした。
まずは外見や気になった機能から。
外見ですが、フルサイズミラーレスの中ではなかなか精悍なデザインにまとまっていますよね。
肩窓が広いためかややペンタ部が片側に偏った印象を受けますが、Nikon Z7などと比べると違和感が無いデザインなのかなと思います。
上の写真を見るとかなりボディが大きいのがわかります。
α7RIIIを使っていると右手親指の置き場が窮屈ですが、この機種に関してはスペースにゆとりがあり、かつフォーカルポイントのレバーやダイヤルにもアクセスしやすそうですね。
一応背面液晶のタッチ操作にも対応しているようですが、右手親指を伸ばしてタッチ操作するのはかなり遠くてやり辛いのではといった印象です。
ボディ前面にもボタンなどが配されており、すぐに設定を呼び出せるファンクションレバーとファンクションボタン2つがあります。
上部の液晶はこんな感じ。
NikonとCanonのフルサイズミラーレスも肩窓はありますが、液晶が小さいためNikonはゴチャっとした印象、Canonは簡素な印象でした。
この機種は液晶が広々としているため上位機種の一眼レフに近い印象ですね。
背面に付いている操作ロックレバーの存在も個人的にはなかなか良さそうだと感じます。
このレバーをロックすることで、数箇所のダイヤルやジョイスティック、タッチパネルなどをまとめて無効にできるとのこと。カメラを提げて歩いていると不用意にダイヤルを回してしまったりフォーカルポイントが動いていることはわりとあるので、この機能はあると便利そうです。
あと良いなと思ったのが自照式のボタン。
夜の撮影やスタジオを暗くしていると、たまにボタンがわかりづらかったりしますよね。
撮影設定に関わるボタンだとわりと体が覚えているんですが、そうじゃないボタンの位置は覚えていなかったりするので便利そうですね。
あと暗所での撮影に関してだとこのナイトモードも良いなと。
この表示モードに設定することでインターフェイスが黒と赤で表示されるので、暗闇に慣れた状態で見ても眩しくありません。
他社のインターフェイスもわりと黒背景でそこまで眩しくないものが多いですが、ここまで徹底して眩しくならないようになっているのは珍しいですね。
逆にNikonの撮影設定が見れる画面、あれ白背景で眩しすぎでしょう。
ここからはスペックです。
モデル | LUMIX S1 | LUMIX S1R | α7RIII |
記録メディア | XQDカード×1、SDカード×1 | XQDカード×1、SDカード×1 | SDカードスロット×2 |
有効画素数 | 2420万画素 | 4730万画素 | 4240万画素 |
記録画素数 静止画 |
6000×4000 | 8368×5584 | 7952×5302 |
動画記録形式 | 4K 59.94p※ 4K 29.97p 4K 23.97p FHD 59.94p FHD 29.97p ※連続撮影時間は29分59秒まで |
4K 59.94p※ 4K 29.97p※ 4K 23.97p※ FHD 59.94p FHD 29.97p ※連続撮影時間は15分まで |
4K 30p 4K 24p FHD 120p FHD 60p FHD 30p FHD 24p (いずれも29分59秒まで) |
ファインダー | 576万画素 | 576万画素 | 368万画素 |
AF方式 | 映像検出によるTTL形式 (コントラスト) |
映像検出によるTTL形式 (コントラスト) |
ファストハイブリッドAF(位相差+コントラスト) |
ISO感度 | 50〜204800 | 50〜51200 | 50〜102400 |
手ぶれ補正効果 | 6.0段 (Dual IS 2の場合) |
6.0段 (Dual IS 2の場合) |
5.5段 |
シャッター速度 | 1/8000〜60秒 | 1/8000〜60秒 (電子シャッターは最速1/16000) |
1/8000〜30秒 |
連写速度 (AF・AE追従時) |
6コマ/秒 | 6コマ/秒 | 10コマ/秒 |
撮影可能枚数 (バッテリーの持ち) (ファインダー使用時) |
380枚 (省電力ファインダー撮影時1150枚) |
360枚 (省電力ファインダー撮影時1150枚) |
530枚 |
外形寸法 | 幅14.9×高さ11×奥行き9.7(cm) | 幅14.9×高さ11×奥行き9.7(cm) | 幅12.7×高さ9.6×奥行き7.4(cm) |
質量 (バッテリー・メモリーカード1枚含む) |
1017g | 1016g | 657g |
・画素数
S1Rはα7RIIIより若干高い4730万画素。3:2で撮れば幅8000pxを超えます。
実用上この解像度が必要なのかと言われると微妙ですが、少なくともトリミングの自由度は上がることは確かです。
S1に関してはごく一般的なミドルクラスの画素数ですね。
・動画
フルサイズミラーレスとしては初の4K60pのボディ内記録を実現。
これはいいのですがちょっとした落とし穴が。
先日関税に変更があり、30分を超える長時間録画ができるカメラでも輸出時に関税が高くならなくなったというのはカメラ界隈では話題になりましたよね。
ただ、この機種の4K撮影に関しては技術的に問題があったためか録画時間に制限が残っており、
→S1 4K60pでは最長29分59秒まで
→S1R 4K60p、4K30pでは最長15分まで
となっています。
S1Rの4K30pでも最長15分というのは正直結構残念なポイント。
S1Rはスチル向けの位置付けなのでこうなったのだと思いますが、あえて制限する必要はなかったのでは?それともこれも技術的な問題があるのでしょうか。
4K以下のサイズであれば制限はなく、カードがいっぱいになるまで撮れるようです。
結局のところ4K60pで長尺の動画を撮るなら外部レコーダーは必要ですね。
フルHD画質のフレーム数に関しては先発のα7RIIIのほうが上です。
一応S1ではハイスピード動画という機能で180fpsの動画も撮れるそうですが、こちらに関しては音声が記録されないモードなので通常の撮影とは別物です。
SONYで言うところのスロー&クイック機能と同じ扱いだと思われます。
・AF方式
S1、S1Rともに映像検出によるTTL形式ということになっていますが、とどのつまりコントラストAFです。
SONYもCanonもNikonも位相差検出を採用しているのに、形式だけ見るとS1は退化しているような…?
空間認識や動体予測を用いることで高い動体追従性を実現しているとこのとですが、これはちょっと実機を触ってみないとわからないところですね。
少なくともスペックだけみると「う〜ん?」と感じます。
・シャッター速度
S1に関しては割と普通ですが、S1Rの場合電子シャッターにより最速1/16000のシャッター速度が出せます。
ローリングシャッターによる歪みが出ないかなど心配なところはありますが、自由は高まりそうですね。
・撮影可能枚数
やはりS1もαの大容量バッテリーには勝てない…と思いきや、どうやら省電力ファインダー撮影という機能を使えばバッテリーライフを倍以上伸ばせるようです。
メーカーページには以下のような説明が。
この説明だとあんまりよくわからないのですが、このモードにしていると背面液晶は表示されないということかな?撮影設定は肩窓で確認できるのでこれはわりとありですね。
ただスリープというのはどういうことでしょう?ファインダーだけスリープするの?それともカメラ自体?カメラ自体スリープするなら結構テンポ悪くないそうな気もしますね…。
・サイズと重量
ミラーレスとは思えないほどのデカ重。どちらかと言うとミラーレスよりEOS 5DやD850などに近い大きさですね。
そのぶん握った時のホールド感や、重いレンズを装着した時のバランスは良くなるのでしょう。
ただ、一眼レフの上位機種からフルサイズミラーレスに買い替えた人の大半は、小さくて軽くて画質が良いという点に目を付けていると思うのですが、果たして買い替えの需要はあるのでしょうか…?
・レンズがべらぼうに高い
新しいカメラを買ったらレジの最初のレンズは何を買いますか?
35mm判ならまず50mm単焦点か標準ズームが欲しいと思いますが、Panasonicが用意した50mm単焦点の価格は…
なんと税別285,000円!!!
消費税含めたら30万超えです。
後発のくせになんと強気なんでしょう。
Lマウントなので単焦点が欲しいならライカ製を選ぶこともできますが、当然ライカ製も涙ちょちょ切れるほど高い。Lマウントのズミルックス 50mm F1.4は税込691,200円です。
頼みの綱はLマウントの協賛しているSIGMA。
まだ1本もLマウントに関してはリリースしていないので、SIGMAがどういった動きをするつもりなのかわかりませんが、EF-Eのマウントアダプターを出したようにEF-Lのアダプターを出してくれれば一気に選択肢が広がりますね。
出してくれなかったら…。
さて、ここまでの情報を総合的に見ていくと、個人的にはナシかな…?と思いました。
理由としては
・ボディも対応レンズも他社と比べて高価
・AF形式がコントラストAFなので、一眼レフにAF速度で大きく劣るのではないかという不安
・4K 60pで長尺の動画は撮れないので外部レコーダーが必要、そうすると他社のボディのほうが安上がりだしレンズや対応アクセサリーが多い
といったところでしょうか。
しっかりしたテザー撮影のソフトもあるようなので、画素数の多さもあるのでスタジオ撮影ではかなり有用なカメラなのではと思うのですが、個人で使う方や複数台持ち運ばなくてはいけないプロの方、オールラウンドに使えるカメラが欲しい人には買い換えるメリットが少ないのではと思いますね。
今後SIGMAからバンバン対応レンズが出れば状況は変わってくるかもしれませんが、現時点ではナシかな〜という考えでした。
ただ、細かいところまで気を配った機能が搭載された良いボディではあると思いますので、今後が気になるカメラではあります。
ではでは。